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部下は「褒める」な、「承認」せよ ― 外資の社長が毎日やっているたった一つの習慣

「部下を褒めて伸ばしたいのですが、なんだか偉そうになってしまって難しいです」

リーダーやマネージャーの方から、よくこう相談されます。実は私は、ドイツ企業の代表として社員と接するとき、「褒める」ということを意識的にやりません。今日は、その理由と、代わりに毎日やっている習慣についてお話しします。

「褒める」という言葉が、すでに上から目線

正直に言うと、私は「褒める」という言葉があまり好きではありません。

「頑張ったから褒めてあげよう」という発想には、どうしても上から目線のニュアンスがある。子どもに対しても、社員に対しても、「よしよし」と評価を下す立場に自分を置くことになる。そこに少し嘘っぽさが生まれるんです。

ではどうするか。私がやっているのは「承認」です。素直に「素晴らしい」と思ったことを、「素晴らしいですね」とそのまま伝える。ただそれだけ。評価を下すのではなく、事実として認める。これが承認です。

「重要さ」をわかりやすくしてから、承認する

承認には、少しだけコツがあります。本人が、自分のやったことの価値や貢献度をわかっていないことが多いんです。

だから私は、「それがどれほど重要なことか」「会社にどれだけ貢献したか」をわかりやすく示したうえで、「本当に素晴らしいですね」と承認します。漠然と「いいね」で終わらせるのではなく、何がどう効いたのかを添える。そうすると、承認はぐっと届きやすくなります。

承認は「毎日」「仕組みで」やる

では、どのくらいの頻度で承認すればいいのか。私の答えは、多ければ多いほどいいです。

1分おきは多すぎますが、週に一度では少なすぎる。私は基本的に毎日、何かしら見つけて承認するようにしています。とはいえ、気合いだけでは続きません。だから仕組みにしています。

うちの会社では、社員の方から業務終了時にチャットで報告をもらう運用にしています。その報告に対して、毎日承認を返す。これはある大先輩から教わったやり方で、「承認の機会を毎日作れる仕組みを作れ」という教えでした。報告の中身は、必ずしも大きな成果でなくていい。「今日こういう工夫をしてみました」程度でいいんです。それに対して「素晴らしいですね」と返す。この往復を、日々のコミュニケーションに組み込んでおく。

リーダーは「承認係」である

この考え方の背景には、ジャック・ウェルチの言葉があります。

GEを率いた彼は、リーダーシップにおける承認の大切さを繰り返し語っていました。承認とは、給料やボーナスを上げることではない。たとえば一緒にビールを飲むような、人として認める行為です。トップ一人では全員を承認できないから、各マネージャーは自分のチームを承認する「承認係」なのだ、と。承認だけはしっかりやりなさい、という任が、リーダーにはあるわけです。

意外と、これができていない人が多い。同僚がすごい仕事をしても、「あいつうまくやりやがったな」という気持ちが先に立って、素直に「最高ですね」と言えない。素直に周りを承認できる人は、それだけで貴重です。

承認はマネージャーの中心的な仕事です。その役割の全体像は「昇進=激務」は誤解で書いています。

ネガティブな相手には「率直に意図を聞く」

一方で、職場には悪口やネガティブな発言でチームの士気を下げる人もいます。新しいことに必ず否定的なことを言う、といったケースです。受け流すべきか、と聞かれますが、私は受け流しません。

まず、その人を呼んで、率直に「それはどういう意味ですか」と意図を聞きます。なぜなら「悪口に聞こえた」のは、こちらの受け取り方かもしれないからです。本人に悪気がない場合もある。よく聞くと、たいてい発言の裏には、伝わっていない意図やコミュニケーションの目詰まりが隠れています。「難しい」「みんなやらない」といった言い訳の言葉の下に、氷山のように本音が沈んでいる。それを引き出さない限り、本当の問題は見えません。

リーダーの仕事は、この目詰まりを開通させることです。組織のコミュニケーションが詰まっていると感じたら、放置しない。放っておくと、どんどんエスカレートして、最後に堰を切ったように溢れ出します。詰まりを見つけたら、すぐ手当てする。

ただし、何度腹を割って話しても変わらない人もいます。全員を同じように束ねることに固執しすぎず、どこかで線引きをする判断も、リーダーには必要です。

苦手な相手こそ、こちらから「ポップに」誘う

苦手な先輩や上司がいる、という悩みもよく聞きます。これも本質は同じです。

私自身、かつてすごく怒鳴る上司が苦手でした。でも、たまたま車で駅まで送る機会が増え、その道中で将来の相談をするうちに、人間性のよさが見えてきた。怒っているのも、本当は親身なアドバイスなんだと聞こえるようになった。最後には「君を一番の戦友だと思っている」とまで言ってもらえました。

苦手意識は、たいていこちらの思い込みです。私たちの耳には「ヘッドホン」がついていて、相手がAと言ってもBに聞こえてしまう。一度それを外して、「この人はなぜこう言うのか」と相手の立場を想像して聞くと、まるで違って聞こえます。だから、苦手な人ほど、こちらから気軽に、ポップに声をかけてみる。それが突破口になります。


「褒める」のではなく「承認する」。素直に認め、毎日、仕組みで続ける。そして、ネガティブな相手にも苦手な相手にも、率直に意図を聞きにいく。リーダーシップとは、結局のところコミュニケーションの量との掛け算です。コミュニケーションがゼロなら、リーダーシップもゼロなのです。

私がリーダーシップやマネジメントで培ってきたこうした考え方は、「MBAに行かない人のための無料メール講座」で少しずつお届けしています。チームを率いる立場の方の入口として、受け取ってみてください。

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