キャリアの森

英語が伸びない本当の理由は「日本語を忘れていない」から ― 私がたどり着いた、たった一つの勉強法

「英語の勉強をしているのに、実践できません」「発音が悪いと言われます」「何年やっても聞き取れません」

英語にまつわる相談を、本当によくいただきます。参考書も教材も世の中にあふれているのに、なぜ多くの人が伸び悩むのか。

私はエンジニアから外資系の世界に入り、英語で仕事をし、子どもにも英語を教えてきました。さんざん紆余曲折した末に、「これしかない」とたどり着いた結論があります。今日はそれを、私自身の体験とあわせてお話しします。

英語は「耳」から。順番が逆だと、いつまでも話せない

最初に結論を言います。英語は、耳から鍛える。 これが私の答えです。

日本人が英語を学ぶとき、たいてい単語と文法から入ります。でも、それは順番が逆なんです。子どもが言葉を覚える順番を思い出してください。文法書を読んでから日本語を話し始めた人はいませんよね。耳からどんどん音が入ってきて、それを真似して話せるようになる。英語もまったく同じプロセスでいい。

順番は、耳 → 話す → 書く。これは、子どもが言語を習得する順番です。子どもにできるのだから、大人にできないわけがありません。ただ、その立て付けでやらないと、言語は習得できない ― それだけのことなんです。

「耳を鍛えると、発音が良くなる」のは本当か

「発音が悪い」という悩みも、実は耳の問題です。

たとえば日本人の「ラ行」。これは通じません。私もアメリカで「フリーマーケット」を free だと思って言ったら、まったく通じませんでした。あれは free(無料)ではなく flea(蚤)なんですね。蚤の市、という意味です。L と R を、向こうの人は厳密に聞き分けます。正しく発音しないと、本当に取ってもらえない。

では発音の改善方法は何か。耳です。 私は英語を教えるとき、最初に文章を読ませて録音します。そこから3ヶ月、ディクテーション(聞き取り書き取り)を徹底的にやらせて、もう一度同じ文章を読ませる。録音を聞き比べると、別人です。発音指導は何もしていません。耳を良くしただけ。耳でL と R を聞き分けられるようになると、自然と言えるようになる。逆に、聞き分けられない耳のままでは、いつまでも発音は直りません。

私の原点 ― テキサスから来た居候と、英語で喧嘩した3ヶ月

「使う機会がない」という人へ。私自身、最初から英語環境にいたわけではありません。普通に日本でエンジニアをしていて、ほとんど英語など使いませんでした。

きっかけは、まだ電話回線でつなぐ時代のインターネットでした。アメリカのチャットで知り合ったテキサスのケンという男が、毎回話しかけてくる。最初はハローすら満足に返せませんでしたが、1年ほど電話で彼の英語を一方的に聞き続けました。やがて彼が「日本で仕事を探したい」と言うので、私の六畳一間に3ヶ月、居候させたんです。

これがすごい体験でした。彼はとにかくガサツで、人の冷蔵庫を勝手に開けるし、買っておいたお茶も飲み干す。だんだん腹が立ってくる。でも、英語で喧嘩ができないから、悔しくてたまらない。「片付けろ」と言いたいのに言えない。そのイライラが爆発すると、人は進化するんですね。必要に迫られると、通じなくても喧嘩はできるようになる。あの3ヶ月、私の英語はおそらく今より速かったと思います。日本語を話さない日が続いて、一時は日本語を忘れかけたほどでした。

ポイントはこうです。英語を使う機会は、仕事以外でも作れる。 友達を作って、ひたすら話す。勉強ばかりだと疲れますが、人とのつながりの中でなら、楽に身につきます。

子どもには「ベイマックスを4年」やらせた

わが家の英語教育も、この考え方そのものです。

うちでは、ゲームをやりたければ、同じ時間だけ英語に触れるというルールにしていました。子どもはゲーム3〜4時間やりたいから、英語も3〜4時間やる。何をやらせたかというと、映画『ベイマックス』を英語字幕で見て、聞こえたとおりに口に出す「シャドーイング」です。これを4年。

意味はわからなくていいんです。「このシーンでベイマックスはこう言っていた」という音を、丸ごと記憶する。お経と同じです。4年続けると、セリフを一人で暗唱できるようになる。発音は、本人も驚くほど良くなりました。意味や文法は、もっと大きくなってからで十分。小さいうちにそこから入ると、英語が嫌いになる。嫌いになったら、そこで終わりですから。

ここで一つだけ、決定的なコツがあります。字幕は「英語」にすること。 日本語字幕をつけた瞬間に、脳は日本語に切り替わってしまう。これでは何時間見ても効果はゼロです。

なぜ「日本語を忘れる」と英語が伸びるのか

私の個人的な理論ですが、脳の中で日本語と英語は別の場所にあって、スイッチで切り替えているのだと思います。

アメリカに2週間ほど旅行すると、なぜか急に聞き取れるようになる経験はありませんか。あれは、脳のレバーが英語側に倒れるのに2週間くらいかかるからだと思うんです。ところが、日本語を見た瞬間に、レバーは一瞬で日本語側へ戻ってしまう。だから、せっかく英語に倒しても、すぐリセットされる。バイリンガルの人は、この切り替えが0コンマ何秒で済む ― ただそれだけの違いなんです。

つまり、英語学習とは「日本語を忘れる時間」をどれだけ作れるかということ。だから私が英語を教えるときは、スライドも会話もすべて英語にして、日本語を一切出しません。日本語を忘れる空間にいないと、脳のレバーが英語側に入らないからです。

結局は、反復しかない。でも、やり方さえ掴めばいい

身も蓋もない話ですが、最後は反復です。

私自身、今も英語力をキープするために、海外ドラマ『フレンズ』を100回以上見て、音声をmp3にしてジョギング中に聞き流しています。登場人物もセリフも全部覚えているから、聞き直すだけで錆びがすぐ取れる。初めて聞く教材より、すでに知っているものを繰り返すほうが、はるかに効率がいい。

映画を100本見ても、一つもセリフを覚えていなければ学びはゼロ。でも1本を100回見て「この場面でこう言っていた」と言えるなら、それは確実に力になる。言語とは、そういうものです。

10年かかると言われたら、誰でも気が遠くなりますよね。でも、やり方さえ掴めば、その10年を3年に縮めることはできます。逆に、3週間で身につく魔法はありません。最低でも3ヶ月、毎日2〜3時間は英語に触れないと、耳は日本語に持っていかれてしまいます。


英語は、長い。けれど、「どうやるか」さえ掴めば、あとはルーチンです。耳から入り、日本語を忘れる時間を作り、ひたすら反復する ― それだけ。

私が試行錯誤の末にたどり着いたこの方法や、世界で通用するビジネスの考え方を、「MBAに行かない人のための無料メール講座」で少しずつお届けしています。英語もキャリアも、世界とつながる第一歩として、入口に受け取ってみてください。

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