リーダーシップ

「つい言ってしまう言葉」の裏には、立場がある ── リーダーが剥く3枚目の皮

結論から言います。あなたがつい口にしてしまう言葉には、必ず「立場」が隠れています。 「すみません」が口癖の人、「〜のくせに」とつい言ってしまう人。その言葉は、本人の意思というより、背負っている立場から自動的に出てきます。そして同じことが、あなたの周りの人にも起きている。相手の言葉の裏にある「立場」を理解できると、その真意が見えてくる。今回は、玉ねぎの3枚目の皮——「チャットボット」を学びます。これで「本来の自分になる」シリーズが完結します。

つい言ってしまう言葉、ありませんか

まず、自分を振り返ってみてください。言いたくないのに、つい言ってしまう言葉はありませんか。

「今忙しいんだよね」が口癖の人。「なんでいつも遅れるの」とつい言う人。「すみません」が反射的に出てしまう人。「〜のくせに」と言ってしまう人。こうした言葉は、よく意識しないと気づきませんが、たいてい誰にでもあります。

ここがポイントです。これらの言葉は、その場でよく考えて選んでいるわけではない。何かに反応して、自動的に出てくる。まるで、決まった言葉を返す「チャットボット」のように。では、その自動応答を引き起こしているものは何か。

言葉の裏にあるのは「立場」

答えは——立場です。

たとえば、「勉強ばっかりしてないで手伝いなさい」とガミガミ言う母親。なぜ、つい言ってしまうのか。それは、本人が意地悪だからではなく、「母親という立場」を背負っているから。母親だから、子供の将来を心配する立場だから、その言葉が出てくる。

この構造に気づくと、見え方が変わります。「ガミガミ言う嫌な人」ではなく、「母親という立場から、心配して言っているんだな」と。立場を理解してあげると、その言葉の真意が見えてくる。すると、もう少し素直に聞けるようになる。攻撃ではなく、立場から出た言葉だと分かるからです。

なぜリーダーにこれが必要なのか

これは、職場でこそ効きます。

部下が、上司にとって耳の痛いことを言ってくる。同僚が、つっけんどんな言い方をしてくる。そんなとき、言葉の表面だけ受け取ると、「反抗的だ」「感じが悪い」とイライラします(前回までの、コンタクトレンズが作る意味、ヘッドホンの内面の声を思い出してください)。

でも、その人の立場を考えてみる。「この人は、現場を預かる立場だから、こう言うのか」「納期に責任を持つ立場だから、厳しく言うのか」と。立場が見えると、言葉の裏にある真意——本当に伝えたいこと、守りたいもの——が見えてくる。リーダーは、相手の言葉そのものではなく、その人が立っている立場を見る。それが、相手を深く理解する鍵になります。

そして同時に、自分自身の「つい言ってしまう言葉」も振り返る。自分がどんな立場から、どんな言葉を自動的に発しているのか。それに気づくことが、本来の自分を取り戻す一歩になります。

玉ねぎの皮、3枚を束ねると

これで、本来の自分になるための玉ねぎの皮が3枚そろいました。振り返ってみましょう。

– 1枚目:コンタクトレンズ(意味) ── 出来事に勝手に意味をつけている。イライラの正体は脳が作る意味- 2枚目:ヘッドホン(完全に聞く) ── 内面の声が、相手の本当の言葉を遮る。完全に聞く経験を残す- 3枚目:チャットボット(立場) ── つい言ってしまう言葉の裏には立場がある。立場を理解すると真意が見える

この3つは、つながっています。自分のレンズ(意味づけ)に気づき、内面の声を黙らせて完全に聞き、相手と自分の立場を理解する。これらを実践すると、自分の皮が剥け、周りの人の皮も見えてくる。本来の自分に戻り、相手をありのままに理解できるようになる。これが、リーダーシップの土台になります。

ここまでの2枚、1枚目・コンタクトレンズ2枚目・完全に聞くを振り返ると、3枚が一本につながります。

実践:つい言ってしまう言葉を見つける

今日からの実践です。まず、自分がつい言ってしまう言葉を探してみてください。「すみません」「忙しい」「〜のくせに」——何でもいい。それを見つけたら、「自分はどんな立場から、この言葉を発しているのか」を考えてみる。

そして、周りの人がつい言ってしまう言葉にも、同じ目を向ける。「この人は、どんな立場から、この言葉を言っているのか」と。立場が見えると、相手への苛立ちが、理解に変わっていきます。

3枚を剥いたら、次は7つの要素で自分を数値化する記事へ。

まとめ

リーダーが剥く3枚目の皮を整理します。

– つい言ってしまう言葉は、考えて選んでいるのではなく、立場から自動的に出てくる(チャットボットのように)- 「母親のくせに」ではなく「母親という立場だから言うのだ」と、立場を理解すると真意が見える– リーダーは、相手の言葉そのものでなく、その人が立つ立場を見る。それが深い理解の鍵- 自分の「つい言ってしまう言葉」も振り返り、どんな立場から発しているか気づく- 玉ねぎの皮3枚(コンタクトレンズ/ヘッドホン/チャットボット)で、本来の自分に戻る

人の言葉に苛立つとき、その言葉だけを見ていると、関係はこじれます。でも、一歩引いて「この人はどんな立場で言っているのか」を考えると、見え方が変わる。攻撃が、立場から出たメッセージに見えてくる。まずは、自分と相手の「立場」に目を向けてみてください。

これで「本来の自分になる」ための3枚の皮がそろいました。ここからは、本来の自分を土台に、リーダーシップを実際に発揮する段階——7つの要素と、それを数値で測る方法へと進んでいきます。


この記事は、僕が主宰するオンライン講座「スタバード」のリーダーシップ講義と、著書『オニオンリーダーシップ』をもとに書いています。MBAやハーバードで学んだ経営の核を、日本語でやさしく届けるために、「MBAに行かない人のための無料メール講座」をやっています。興味があれば、のぞいてみてください。

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